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2100年、地球の海はまったく違う姿に変わっている
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 海は人為的な原因による急激な変化の最中にある。地球の7割を占める海が、ごくちっぽけな哺乳類の群れによって変えられようとしているのだから、ある意味正気の沙汰ではない。だが、それは確かに起こっており、今世紀が終わるまでに今とはまったく違う姿になってしまうだろう。

 「あるのはたった一つの海」とはアメリカ海洋大気庁(NOAA)の言だ。様々な原因によって、様々な程度に、様々な場所が変化しているが、海洋自体は一つの巨大な、相互につながりあったシステムである。オーストラリア沖で投棄された廃棄物は太平洋ゴミベルトを形成する。中国からの汚染は海を渡り北アメリカにまで漂流する。アメリカの片隅で排出された二酸化炭素は海に吸収され、将来的にバングラデシュの海にもなんらかの影響を及ぼす。

 海は過去1万年のいかなる時点よりも多くの熱を吸収しているのみならず、海面も上昇している。酸性化も進んでいる。 化学成分も変化している。生態系は再編成され、海流も変わるだろう。沿岸に住む人々にとって、海は今よりも危険なものとなるはずだ。洪水が都市を襲い、北極航路が開通することで貿易ルートも変わる。資源の変化によって、漁業も影響を受けるだろう。

 「今世紀末まで今のやり方を続けるという最悪のシナリオでは、海洋はハリウッド映画の世界滅亡後ジャンルに登場するような姿をしています」と気候学者マイケル・マン氏は語る。乱獲による漁業資源の激減、海洋汚染や酸化による海洋生物の大量絶滅、酸化と海水温上昇によるサンゴ礁の破壊…こうしたことが現実になる。

 だからこそ、海洋の変化を認識し、2100年までの科学的帰結について検討することが非常に大切なのだ。

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海面の上昇

 今現在、海は成長している。これは北極および南極の氷床や氷山の溶解と、熱膨張の二つが主な要因だ。海では、熱膨張は海水が温まることで起こる。これによって体積が増加する。現在、海は気候変動によって発生した余剰熱の90%を吸収し、かつ北極と南極で溶けた氷塊を飲み込んでいる。

 2014年に発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書では、温暖化が最も進んだシナリオでは、今世紀末までに海面がおよそ52~98cm上昇すると予測している。これは沿岸沿いの都市や島嶼国の生存を脅かすものだ。さらに、最大の温室効果ガス排出が起きた場合は、1.5m近く海面が上昇すると予想される。

 「排出が劇的に減少したとしても、海面は28~61cm上昇するとされています」と海洋学者ステファン・ラームストーフ氏は説明する。最も楽観的なシナリオでさえも50cmは海面が上昇する可能性があり、海岸の侵食や洪水リスクの大幅な増加など、海岸沿いは深刻な影響を受けることだろう。早い話が、何をしようと30cm以上の海面上昇は避けられないということだ。

 だが、海面上昇はIPCCの予測よりもはるかに大きいと懸念する科学者もいる。気候科学の父と称されるジェームズ・ハンセン氏のほか、16名の高名な学者が最近発表した研究では、南極とグリーンランドの陸氷は10倍速く溶け、わずか50年の間に海面が3m上昇すると予測している(これについては反論もある)。海岸沿いに人口が集中する現代文明にとっては明らかに脅威である。 
 
 こうしたことは実際のところどのような意味を持つのだろうか。1.5mと3mの海面上昇の違いとは何なのだろうか。これを知るには、例えば、非営利団体クライメイト・セントラルがグーグル・マップを利用して描いたアメリカの沿岸沿いにある都市の姿を見ればいいだろう。

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 1.5m海面が上昇すると、ニューオリンズの大半は水没してしまう。マイアミやニューヨークシティも同様だ。一部の都市は、高価な治水技術によって水没を免れるかもしれない。だが、街を諦め、移転を強いられる都市があることは間違いない。

 つまり、2100年までには海の浅瀬に、海岸施設やそこへ至る道路など、いくつかの人間の遺構が含まれるようになるということだ。下の画像は、海面が3m上昇したときのマイアミの姿だ。

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水温の上昇

水は空気よりもずっと熱を吸収する。そのため、気候変動により発生した膨大な熱が海に吸収されることになる。大気の気温が急上昇しないので、気候にとってはありがたいことだ。温暖化が停滞している理由もこれだ。だが、その一方で海洋の熱は危険な上昇を始めている。

 「過去39年以上に渡り、海洋は、上部75mでは10年あたり平均0.1℃以上、水深700mでは10年あたり0.015℃水温が上昇した」とIPCC報告書には記載されている。大したことはなさそうに思えるが、そうではない。今のペースが続けば今世紀末までに浅瀬では1℃上昇し、海洋の生態系を破壊し、熱帯の台風も大型化するおそれがある。

 水温が徐々に上昇した場合であっても、例えば、サンゴ礁の白化を引き起こす。これに海洋の酸化が加わるため、サンゴは絶滅へ向けてひた走っている。2012年のサイエンス誌に掲載された論文によれば、現在の二酸化炭素排出が続けば、2100年までにほぼ全てのサンゴ礁が死滅するという。

 一方で、暖かい水は蒸発しやすくなる。こうして台風に注がれるパワーは増加され、さらに海面上昇と相まって大きな被害をもたらすようになるだろう。水温の上昇は世界中で問題を引き起こすが、特に高緯度ほどその影響が著しい。

 南極と北極のように、暖かい海水が氷山や氷床を溶かし、さらなる海面上昇につながる。ホッキョクグマやセイウチなど、ここに住む動物にとってはたまったものではない。昨年、海氷不足によって35000頭のセイウチが観測史上初となるほどの密集を余儀なくされ、極圏における温暖化の影響を象徴する出来事となった。

 北極圏では、地球平均の2倍の速さで温暖化が進行している。NOAAやイギリス気象庁などでは、今世紀末までには、夏期になると北極の海氷が消えるようになるだろうと予測している。実際、「海氷の融解は、21世紀を通して加速し、2100年までには夏期に残る海氷はほとんどなくなる」とNOAAは発表している。


COP17 - Met Office Projections of sea ice changes due to climate change.

 水温の上昇によって、カリブ海のカニが北の海に出現するなど、外来種の侵入も増加する。海洋生物は全体的に北上しているのだ。魚は極圏へ向かい、サメも北で産卵し始めている。

 藻類も繁殖しやすくなる。太平洋の例年より暖かい海水によって、有毒藻が大発生し、カリフォルニアまで広がっている。「西海岸あるいは世界中のどこでも、この特定の藻がここまで大繁殖したのは初めてのことでしょう」とカリフォルニア大学のラファエル・クデラ氏は説明する。

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 極め付けは、最も不吉な現象だ。生命が生きられない酸欠海域が拡大しているのだ。おそらく最も有名な例は、メキシコ湾の大酸欠海域だろう。ほぼコネチカット州ほどの大きさがある。多くの研究が海水温の上昇との関連を示唆しており、多かれ少なかれ将来的には恒常的な状態となる。

 コペンハーゲン大学のゲーリー・シェーファー氏によれば、酸欠海域の拡大は今後数千年は続くようで、最悪のシナリオでは海洋の5分の1を占めるようになると予測されている。

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 これはあくまで最悪のケースで、その規模がどの程度になるのかはよく分からない。とはいえ、おそらくは今現在よりも拡大するだろう。だが、最も軽いケースであっても海水が温まるにつれて、数多くの予測もしない現象が発生し、そのいくつかは過激なものであるようだ。

 2100年までの水温上昇について問われて、「例えるなら、カエルが茹で上がるくらい」とシェーファー氏は答えている。おそらくカエルとは人類の比喩だろう。

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海洋の酸化
 人類は茹でダコになるだけではない。酸の危険にも晒されている。排出された二酸化炭素の約30~40%が海に吸収されており、炭酸が形成される。その結果、現在の海洋表面のpHは、産業革命以前と比べて0.1低い。また、最近の研究のほとんどが、2100年までに最大で150%という酸化を予測している。つまり、今世紀末までに、海洋の酸性度は産業革命以前と比べて2倍になるということだ。

 「酸化の程度は主に大気中に排出される二酸化炭素の量によって決まりますが、海洋表面のpHが今日の8.1から2100年までに7.75に下がるという説に同意します」とコロンビア大学ラモント・ドラハティー地球科学研究所の高橋太郎氏は語る。

 その帰結とは何だろうか。一つには、貝が困ったことになる。現在でさえも、太平洋の一部は酸性度が高すぎて、貝が適切に貝殻を形成できない海域がある。2100年までには、生態系全体が荒廃し、サンゴや貝だけでなく、炭酸カルシウムの外骨格を持つ多くの生物が危険に晒されるかもしれない。

 「炭酸カルシウム飽和水準は50%以上低下し、冷たい海では炭酸カルシウム製の貝殻を腐食させるでしょう」と高橋氏。かつて同じペースで海洋の酸化が進んだ時代には、海洋生物の96%が絶滅している。

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ゴミの島と漁獲量の減少

 人間が海に直接与える影響は、もちろん二酸化炭素の排出と温暖化だけではない。まず、ゴミで汚染している。2014年、人間が海に投棄するゴミの数を推定した論文が発表された。それによれば、海洋には5兆2500億個のプラスチック片が存在する。そのうち、26.9万トンが水面に浮かんでおり、1km2あたり40億ものプラスチック性極繊維が散乱している。

 水面のみならず海底もまたゴミで埋め尽くされており、自然環境はあらゆるレベルで変化している。止まることを知らない開発と自由市場資本主義が2100年までに作り出すゴミの種類を想像してみてほしい。

 NOAAのアスマ・マハディ氏によれば、毎年192ヶ国から800万mトンのプラスチックが海洋に投棄されているという。このまま続けば、海洋に投棄されるゴミは2100年までに6億8000万トンに達する。その一部は太平洋などで巨大な人工島を形成するだろう。

 そして、乱獲も深刻だ。海のいたるところで魚が絶滅の危機に瀕している。ピュー慈善信託による最近の調査では、世界の漁業資源の90%が乱獲されており、マグロやサメなどの大型肉食魚は過去60年で90%減少したことが判明した。推定によれば、畏怖されるサメでさえ毎年1億匹が殺されているのだ。

 環境防衛基金は、「今日海洋が直面しているあらゆる脅威の中でも、海洋の生命、ひいては人にとって最大のものは乱獲」と主張している。大勢の人々がタンパク質を海産物に依存しているのだから、これはおそらく現段階では真実であろう。そして、トロール網に見られるように、現在の漁法は非常に破壊的なものである。

 2006年の調査では、乱獲が止まらない場合は、今世紀半ばまでに主要な漁業資源が破綻すると示唆している。そうなれば、これまでの漁獲量の10%程度しかとれなくなるそうだ。それよりもいくぶん明るい結果を示す他の研究もあるが、人間や海洋生物が依存している主要な漁業資源が激減しているという点では違いがない。2100年までにどれほど残されているのか、はっきりと答えることは難しい。

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2100年の海

 人類は汚染し、乱獲し、酸化し、水温を上昇させている。また、必ずしも意図的ではないが、ゴミを投棄している。子の世代、あるいは孫の世代が知る海とは、私たちが直視できないようなものかもしれない。その姿がどれほど変わってしまうのか。それは、今私たちが正しい行動をとるか否かにかかっている。

 マン氏が希望を持ちながらも、陰鬱な未来を示した理由もそれだ。「よいニュースは、これが必ずしも私たちの未来だというわけではないことです。未来の世代のために、海を救う時間はまだ残されています」

via:motherboard

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